具志堅 こちらでは牡蠣の養殖と販売をされているとか。これまでの歩みから。
中村 父が牡蠣の養殖を始め、私は自然と父と同じ道を選び、『丸善水産』を継いだのです。今では息子も一緒に働いています。
具志堅 『丸善水産』さんが扱っているのはどのような牡蠣でしょう?
中村 一年中牡蠣を育てており、冬は一般的なマガキを、5月ごろからは岩牡蠣を販売しています。岩牡蠣の養殖は、太平洋側の地域で当社が初めて成功させたのですよ。岩牡蠣は3〜4年かけてようやく出荷できる大きさになるんです。通常の牡蠣より値段は高いのですが、身は一口で食べられないほど大きく、クリーミーな味わい。栄養価も高いので、夏に最適です。
具志堅 おいしそうですね! お仕事の際に、気をつけておられることは?
中村 当社では生食用を主体に扱っておりますので、新鮮なものをおいしく召し上がっていただけるよう努めています。市場に出荷したり、飲食店に卸すほか、インターネットでも販売しており、年々注文が増えているのですよ。北海道や沖縄など遠方からも依頼をいただいており、鮮度の保持には細心の注意を払っています。安心安全が第一ですから! 皆様に生牡蠣のおいしさを堪能してもらいたいです。
具志堅 苦労も多いのでは?
中村 そうですね。競争も激しいですし、自然に左右されやすく、毎年同じものが出来るとは限りません。特に台風のシーズンには、「台風に耐えてくれ」とハラハラしますね。環境の変化によっては、思うように育っていない時もあれば、予想以上の出来になることもある。難しくもあり、面白くもあります。期待通りの出来だと本当にうれしいですね。出来るだけ良いものを安定して提供できるよう、工夫しています。
具志堅 同業者の方は多いのですか。
中村 70社ほどです。以前と比べると減りましたね。この業界は地域の同業者との横のつながりが大切。養殖場所は毎年くじで決められ、自分の場所に養殖用のイカダを引っ張っていかねばならず手助けが必要となる。牡蠣を育てるには、同業者の協力が必要なのですよ。
具志堅 なるほど。それでは今後の展望をお聞かせください。
中村 お客様の立場に立って、とにかく真面目に誠実な仕事を続けることが第一だと考えています。そうした心構えこそ、事業が長続きする秘訣。父が築いてきた『丸善水産』の信用を、息子と共に守っていきたいですね。また、より上質な牡蠣を育てるためには、海の汚染を少なくすることが重要になります。当社でももちろん努力していますし、皆さんにも環境保全に協力していただきたいです。
具志堅 陰ながら私も応援しています。