小倉 御社は専務のお父様が創業されたそうですね。
岡本 ええ。父は今も社長職を務めておりますが、7年ほど前、体調を崩して入院していた時期があり、そのころから全体的な進捗管理は私が行っております。
小倉 専務はいつごろから社長のあとを継ごうと思われたのですか。
岡本 幼いころから父の仕事を見て、意識はしていましたが、この道で食べていくことを決心したのは20歳の時ですね。量産の家具工場とは異なり、お客様の要望に応じて一つひとつハンドメイドで家具を作り、喜んでいただく。とてもやり甲斐のある仕事であり、自分自身も楽しんで仕事ができるだろう──そんな思いからあとを継ぐことにしたのです。
小倉 具体的にはどのような家具を作っていらっしゃるのですか。
▲岡本一男社長と専務から生産現場の説明を受ける小倉一郎氏 |
岡本 一般住宅の家具はもちろん、ハウスメーカーのモデルルーム用家具、ホテルのロビーに設置するソファーやテーブル、駅案内所のカウンターなど様々なものを手掛けますね。それほど宣伝に力を入れているわけではありませんが、紹介や口コミで当社のことを知られる方が多く、それまで全く面識のなかった個人のお客様から直接ご依頼を受けることもしばしばあります。お客様の中には、お勤めの都合から頻繁に転居を重ねる方もいらっしゃって、その方からは「次の家にふさわしい家具を作ってください」と、引っ越しの度に注文をいただいているんですよ。
小倉 ほう、御社の家具に並々ならぬ愛着を持っておられるのですね。
岡本 ありがたいことです。ですから当社としましてもお客様のご期待に応えられるよう、たいてい注文をいただいたらまず納品場所に伺うんです。そしてその場所の雰囲気をよく見てイメージを組み立て、あとはお客様と相談しつつイメージを完成させていく。お客様の要望を引き出し、形にしていくのは容易ではありませんが、最終的には100%満足される形で納品ができると自負しています。
小倉 スタッフの方は何名いらっしゃるのですか。
岡本 9名です。若い人が多いのですが、皆技術力も高く、それぞれがプライドを持って仕事に臨んでくれています。お客様の気持ちに応えようと日々真剣に作業にあたっていますので、職場はいつも緊張感と活気に溢れているんですよ。
小倉 最後に、今後の展望をお聞かせください。
岡本 新しい素材や技術を積極的に取り入れ、よりクオリティーアップさせていきたいですね。特に塗装の技術は日進月歩であり、また、塗装一つで木の持ち味は大きく変化しますから、これにしっかりと取り組めるような、新しい工場を建設したいと考えています。
小倉 これからも頑張ってください。 |