具志堅 はじめに、主な業務内容から。
阿部 一般貨物自動車運送業を手掛けています。大手日用品メーカーの製品など、様々な商品を速やかに各地へお届けしているのです。
具志堅 阿部社長が、運送業に携わられたきっかけは何だったのでしょうか。
阿部 学業修了後、知人から「アルバイトでトラックを運転してくれないか」と頼まれたのが業界に入ったきっかけです。その後、「ぜひ一緒に働きたい」という人が集まってきたこともあり、1992年に運送業の認可を受け『上武物流』を設立しました。
具志堅 近年では大きな交通事故が相次ぎ、規制が厳しくなりましたよね。
阿部 過労による事故が増加したため、労働時間の厳守などの指導は仕方がありません。しかし、“お客様のニーズ”と“行政による指導”のバランスを見極めることが難しいですね。私も同業の諸先輩方に工夫を伺い、柔軟に対応しています。
具志堅 安全に荷物を届けることが、運送業では何より大切なことですからね。
阿部 ええ。事故などもってのほかです。しかし運送業者も人ですから、一分一秒を急いでトラックを走らせていては、何が起こるかわかりません。ですから、当社では荷主様に「遅れる場合は連絡を入れるので、ドライバーを急かさないで欲しい」とお願いしているのです。荷主様も現在の運送業界のことは理解されていますので、きちんと説明し、ご了承いただいています。
具志堅 荷主様としっかりとした信頼関係を築いているからこそ、業務の現状を受け入れてくださるのでしょうね。
阿部 お客様には本当に恵まれていますね。皆様のご協力がなければ、行政の指導の中、当社を堅実に運営することはできなかったでしょう。感謝しています。
具志堅 スタッフの方には、どんなお話をされているのですか。
阿部 「お客様を裏切らないように」と言っています。その上で、「人にされてうれしいこと」を率先して行い、堅実な業務を続けていけば、自然と信頼関係を育んでいけます。
具志堅 今後はどのような展開を?
阿部 運送業界は“頑張れば頑張るほど、生活が豊かになる業界”です。しかし、近年では行政の指導によって“頑張れない状況”になってしまっています。無論、強制的な労働は淘汰されて然るべきですが、若く働き盛りのスタッフが存分に働けないのは、本人にも社会にとっても大きな損失。若手のモチベーションが下がるような現在の規制には疑問を抱かざるを得ません。行政には、ぜひ現場のスタッフのことを考慮した柔軟な法案を制定していただきたい。近年の若手はこちらが教えたことを素直に受け止め、堅実に仕事をしてくれる真面目な者ばかり。彼らが豊かになるよう、これからも頑張って参ります! |