|
長年地域に根付いてきた |
透析専門のクリニック |
布川 こちらは長年地域に根付いてこられたクリニックだと伺いました。
奥田 ええ。当クリニックは昭和53年に父が開業しました。父は当時注目を集め始めた透析という画期的な治療法に着目し、そこにやり甲斐を求めて開業したそうです。それ以来、透析専門のクリニックとして地域の皆様の健康を支えてきました。
布川 では、院長も物心ついたころからこちらを継ごうと思われていたのですか。
奥田 そうですね。クリニックを遊び場のようにして育つうちに医療に興味を持つようになり、中学生のころには医師になる決意を固めていました。大学の医学部を卒業後は、研修医として3年、勤務医として7年間の修業を経て昨年4月に当クリニックの院長に就任したのです。
布川 現在もこちらでは透析を専門とされているのですか。
奥田 はい。開業当初から30年以上にわたって来院されている患者さんもいます。透析とは病気で衰えてしまった腎臓の機能を補うために血液をきれいにするというもので、途中で治療を止めてしまうと身体に溜まった毒素を排出できなくなり、生命にかかわってきます。患者さんにとっては、いわば命綱のようなものなのです。私どもは長年この分野に特化したクリニックとして専門的なノウハウも培ってきましたし、最先端の設備も整えています。また、現在では技術も進歩していますから、きちんと治療をしていれば合併症などの危険性も以前よりかなり抑えられるようになってきました。
布川 透析を必要とする患者さんは増えてきているのでしょうか。
奥田 そうですね。生活習慣の変化や高齢化により、糖尿病、高血圧の方など、透析を必要とされる患者さんは年々増えてきています。年間で1万人くらいずつ増加傾向にありますので、それに伴って透析を扱う医療機関の数も増えてきているのです。
|
幅広い患者のニーズに応えるべく |
スタッフ一丸となって取り組む |
布川 透析を扱う医療機関が増えていく中で、こちらのクリニックならではの特色を打ち出す必要があるかと思います。
奥田 そうですね。ですから私どもでは、医療サービスの充実はもちろん、患者さんとご家族の負担をできるだけ軽減すべく取り組んでいます。そのために、当クリニックは入院設備も備えています。人によって程度は異なりますが、透析治療は1回につき約4時間かかり、それを週に3回受け続けなければなりません。患者さんの中にはそれだけの頻度の通院を自力で行うのが困難な方もいらっしゃいますし、ご家族の方の精神的・時間的な負担も大きくなります。そこで、「入院」という選択肢をご用意することで、ご本人とご家族に安心して治療にあたって頂きたいと思っているのです。
布川 では、院長になられてから新たに取り組んでおられることはありますか。
奥田 スタッフ全員が強い信頼関係で結ばれる職場づくりに取り組んでいます。現代社会には情報が溢れ、患者さんのニーズや価値観も様々ですから、スタッフ間で意見や情報を交換し合って、理想の医療を実現できるクリニックを作り上げていこうと考えているのです。
布川 スタッフ一人ひとりの意識改革が必要ですね。
奥田 ええ。透析治療は医師や看護師、臨床工学技士、管理栄養士などの専門家の連携が必要なチーム医療ですから、普段から皆としっかりコミュニケーションをとることを大切にしています。その一環として、アメリカの企業などで採り入れられている「グッドアンドニュー」というアクティビティを導入し、スタッフ一人ひとりのモチベーションアップに努めているのです。
布川 院長とスタッフの皆さんが目指す理想の医療とは?
奥田 これまでのようにマイナスをゼロに戻すだけではなく、そこからプラスへと転換できる医療です。現在はその理想に近づくために、屋上にある倉庫を整理し、患者さんたちがリラックスできるスペースを作ろうと計画しています。また、屋上を緑化して患者さんに景観を楽しんでもらったり、植物を育ててもらおうと考えています。そういった取り組みを通じて、生き甲斐や楽しみを見つけていって頂ければ嬉しいですね。
布川 今後が益々楽しみです!
奥田 将来的にはこのクリニックが、患者さんとその家族、スタッフ、そして私自身も含めた全員にとって、それぞれの人生を豊かにできる場所になれればと思います。そのためには、日々の仕事に全力であたっていくことが何よりの近道だと考えていますので、これからも前向きに邁進していこうと思います。 |