三ツ木 まずは建築業界に入られたきっかけからお聞かせ下さい。
田中 私が小さかったころから可愛がってくれていた親方が、高校卒業のときに「うちに来ないか」と誘って下さったことがきっかけで建築業界に入りました。
三ツ木 建築業界の修業は厳しいとよくお聞きしますが。
田中 そうですね。住み込みでの丁稚奉公だったのですが、朝起きてから庭の掃除や洗濯、そして現場作業と、とにかく辛い日々でした。しかし今振り返ると色々な意味で成長することができ、良い経験をさせてもらえたと感謝の気持ちでいっぱいです。そちらで5年間かけてしっかり技術を身に付けさせて頂き、23歳のときに年季明けすることができました。そしてその後も様々な現場で修業を重ね、30歳でかねてからの目標でもあった独立を果たした次第です。
三ツ木 独立当初はいかがでしたか?
田中 当時はバブルが崩壊したころでしたから、しばらくは厳しい時期が続きましたが、一人の職人との出会いが成長へのきっかけとなったのです。当時の彼はまだ経験が浅く必死になって技術の習得に努めていたのですが、その意欲的な姿に私自身刺激を受けたのです。以来、共に切磋琢磨し互いに高め合いながら様々な現場に挑戦してきたのですよ。これまでも、そしてこれからも彼は当社に欠かせない存在ですね。
三ツ木 長年建築の道を歩んでこられ、特に大切にされていることとは?
田中 これまで受け継いできた職人としての技術を守っていくことです。最近はどんどん性能の高い機械が入ってきていますが、どんな状況にも対応できるのが職人の技。だからこそ私がこれまで培ってきた技術をしっかりと後進に継承していくことが私の使命だと考えています。
三ツ木 やり甲斐も大きいでしょう。
田中 はい。現在こちらで若い職人を預かっているのですが、修業をスタートして5年経つ今は、技術のみならず人間的にも着実に成長してきています。その姿を見ると本当に嬉しくなりますね。
三ツ木 最後になりましたが、今後の展望をお聞かせ下さい。
田中 建築業界でのキャリアは約30年になりますので、技術には自信があります。ただ今後は、その技術を裏付けるための資格を取得し、会社としての体制をより強固なものとしていきたいと思います。そしてこれからも施主様に喜ばれる建築物を手掛け続けていきたいです。 |