渡辺 はじめに、阿久津社長のこれまでの歩みをお聞かせください。
阿久津 両親が『阿久津油店』を創業し、私も自然とこの業界を目指す決意をしていました。学業修了後は元請け業者に修業に出て、すぐに後を継いだのです。
渡辺 ご両親の影響が強かったのですね。しかし近年はガソリン価格の高騰が問題になっていますよね。業界全体が厳しい時だと思いますが、御社はどのような経営方針を採っているのですか。
阿久津 燃料の価格だけでサービスを競う時代は終わりに向かっていると考えています。セルフスタンドの台頭などにより競争が激化する中で、従来通り“エネルギーを供給する”だけでは資本力のある同業者に個人商店は太刀打ちできなくなってきました。ですから、当社では「ガソリンスタンド」という枠組をあえて外していこうとしているのです。
渡辺 具体的に、どのようなことを?
阿久津 地域ヘコミュニケーションの場を提供していきます。私が幼いころは、お客様やご近所の方が来て、お茶を飲みながら世間話をしていたのを見ていました。かつてのように、お年寄りからお子様まで気軽に立ち寄れる店となることを目指しているのですよ。お子様にとって、当店に楽しい思い出があれば、いずれ成長して乗用車を持つようになった時に「同じ価格なら『阿久津油店』で」と考えてもらえるでしょうからね。近年は、コミュニティの崩壊が叫ばれていますし、人との絆がつながる場所になれればうれしいですね。
渡辺 確かにかつての商店は、地域におけるコミュニケーションの場でした。それを社長は再現しようとされているわけですね。
阿久津 むろん、通常業務にもこだわりを持っています。ガソリン販売だけでないスタイルを目指すため、洗車にも注力。特にきれいにしたい日に当店を選んでもらえるよう、丁寧な作業を心掛けているんですよ。また、作業を気持ちよくお待ちいただくため、多目的スペースをご用意。広いキッズスペースを確保するほか、マッサージチェアをご用意するなど、独自のアイデアで他店との差別化を図っています。
渡辺 厳しい時代を、創意工夫で乗り越えようとしていらっしゃる。
阿久津 また、自動車に関する情報提供も行っています。維持や整備に関する問題など、些細なことでも気軽にご相談いただきたいですね。仮に当店で対応できなくとも、専門業者をご紹介するなど、的確で迅速な対応を心掛けております。
渡辺 それでは、今後の展望を。
阿久津 地域の方々にとって、なくてはならない存在になりたいですね。そのために、さらにお客様に喜ばれるサービスを追求して参ります。これからもスタッフ一丸となり、業務に邁進していく所存です。
渡辺 これからも頑張ってください。 |