あいはら まずは設立された経緯から。
田村 水に関連する装置を独自に開発しており、電解還元水を生成する装置を生み出したのです。それを企業に持ち込んで商品化を実現。それをきっかけに『アグリシステム研究所』を設立しました。
あいはら 電解還元水とは?
田村 人工的に水を電気分解し、陽極水(プラス)と陰極水(マイナス)に分けたものです。脱気水を電気分解すれば、より強力な還元水──強電解水が生まれることも発見し、脱気装置の開発にも取り組みました。
あいはら 強電解水はどのような分野で使用されているのですか。
田村 強電解水には、優れた除菌効果・洗浄作用があると言われており、様々な分野での薬品代替えや低減が期待されています。農業においては、農薬の代わりとして注目されているんですよ。薬剤と異なり残留性がないので安心・安全な無農薬野菜をつくるのに有効なんです。私は農薬を使用しないのが理想的な農業だと考えていまして。環境に考慮した有機農法もありますが、環境負荷(LCA)の点から見ますと堆肥を作る工程、栽培での地下水汚染、二酸化炭素の排出(野積)などが考えられます。弊社の有機培土は、陽イオン交換容量が高く通常の1/4程度の肥料で済みます。また、独自の施肥設計灌水システムにより、廃液を出さない。また出たとしても原水(水道、井戸水)よりきれいな排水です。しかも収穫量も抜群です。
あいはら すばらしいシステムですね!
田村 弊社のテーマは、「人と地球に優しい技術で農家と社会に貢献する」こと。そのコンセプトのもと、電解水生成器の開発からスタートし、高濃度オゾン水の開発、強電解水生成器の開発、機械式脱気装置の開発、マルチベンチ栽培システムの開発を行ってきました。また、装置の開発だけでなく、設備の施工や管理も手掛けており、さらに農家にお伺いして栽培の指導も行っています。弊社でも実際にイチゴを栽培しておりまして。うわさを聞いて問い合わせをいただくことも多いです。
あいはら 評判は口コミで広がっているのですね。
田村 弊社では消費者の満足はもちろん、生産者の満足も追求しており、システムによる作業の効率化にも取り組んでいます。農業は、「倍働いても収入が半分」と言われるほど厳しい世界。一般企業が運営しても成り立つような、合理的な農法を確立したいと考えているんです。
あいはら 具体的にはどのように?
田村 簡単に言うと機械化です。私は農家への指導のため、一年のほとんどは出張に出ていますが、それでも作物がきちんと育つようなシステムを目指しているんです。
あいはら しかし、農業は天気など予測できないことに影響されるため、機械化は難しいのでは?
田村 農業の難しさは、そうした経験や勘に頼らなければならないところにあります。弊社ではそうした「経験」を、温度や湿度、二酸化炭素濃度、肥料の配合など可能な限り数値化することで制御装置を開発したんです。その結果、高い品質管理のもとで農作物を生産できるようになりました。
あいはら 機械化できれば人件費の削減につながりますし、経営面からみても農家にとって大きなプラスとなりますね。
田村 もちろん、農作物は生き物ですからすべて計算どおりにいくわけではありませんが、常に最高の状態にしていきたいという気持ちが何よりも大切なんです。弊社のシステムを最初に採用した大久保さんをはじめ、滝口さん、江川さん、松田さんという優秀なスタッフと共に、これからも将来の農業に貢献できればと考えています。 |