具志堅 現在の仕事に就かれたきっかけを教えて下さい。
二宮 学校を卒業して営業職に就いたのですが、肌に合わず、すぐに退職しました。そして次の仕事を探している時に、妻の父親から今の仕事を紹介されたのです。最初はアルバイト程度に考えていたのですが、携わってみると意外に面白いことに気づき、やがて没頭するようになりました。
具志堅 具体的にはどういったところに魅力を感じられたのでしょう。
二宮 私は当時も今も無類の車好きなのですが、この仕事で用いる技術や道具は、車の改造に活かせるんですよ。それで気に入ったのです。趣味と実益を兼ねているとでも申しましょうか(笑)。
具志堅 なるほど。独立されたのはいつ頃ですか。
二宮 この会社を立ち上げたのは2004年ですが、それより前、以前勤めていた会社の上司と、一度事業を興したんです。結果的に、その方とは仕事に対する考え方が異なり、別々の道を歩むようになりましたが、経営の基礎を学ぶことができましたので、貴重な期間でした。
具志堅 独立されることに奥様は反対なさらなかったのでしょうか。

▲奥様の麻里江さんを交えての記念撮影 |
二宮(麻) いえ、私は大賛成でした。むしろ、勤務時代から独立をけしかけていたくらいで(笑)。
二宮 妻の父親は事業家ですから、商売のリスクなどはよく分かっているのでしょう。かえって私のほうが不安でしたよ(笑)。
具志堅 経営のほうは順調ですか。
二宮 ええ。大手自動車メーカーさんからもお仕事をいただけていますし、人づてで色々と仕事を紹介してもらっていますので、比較的安定しています。「お陰様で」の言葉通り、たくさんの方々のお陰で当社は成り立っています。感謝の念は尽きませんね。
具志堅 良い顧客に恵まれているようですね。
二宮 ただ、競争相手の多い業界ですから、油断することはできません。お客様にとっては、必ずしも当社に発注する必要はないのですから、取引がなくなることのないよう、当社ならではのセールスポイントをアピールしていく必要があります。
具志堅 そのセールスポイントというのを教えていただけますか。
二宮 小回りのよさ、フットワークの軽さですね。お客様がお困りであれば、たとえ夜中でも駆けつけます。自動車メーカーは24時間稼動ですので、依頼にすぐ対応することが大事なのです。
二宮(麻) 帰宅はたいてい夜中。遅い時には朝方帰ってくることもあります。疲れ果てて、車の中や工場で寝ていることもあるので、身体が心配です。
二宮 でも、それを辛いとは思いませんよ。仕事を終えた時の達成感、それは何物にも代えられません。物づくりの醍醐味を味わえる仕事です。
具志堅 とても難しいお仕事なんでしょう? 私は機械オンチなもので見当もつきませんが(笑)。
二宮 私たちがあれこれと作業することの多い「制御盤」は、機器やら電線やらが至るところに張り巡らされていますので、一般の方が見れば、間違いなくあとずさりされるでしょうね。ですが、様々な決まり事の集合体に過ぎず、我々の仕事は、一口に言えば「電線をつなぐ」だけなんですよ。現在、新しいスタッフを求めて求人広告を出しているのですが、やはり難しい仕事と思われてしまうのか、なかなか人が集まりません。
具志堅 最近の若い人は、技術職を敬遠する傾向がありますからね。ところで、お仕事の上で特に気を付けておられることは何ですか。
二宮 時間の許す限り、お客様の話を伺うということですね。私は雑用でも電話等ですませてしまうのではなく、お客様のもとへ伺ってコーヒーをご馳走になるようにしているんですよ(笑)。「打ち合わせ」というとお互いに構えてしまいますが、コーヒーを飲みながらの話は、ざっくばらんにうち解けられるもの。そうした「茶飲み話」の中にお客様のご要望が隠されていることがよくありますから。
具志堅 お話も尽きませんが、最後に今後の展望をお聞かせ下さい。
二宮 念願の工場が完成し、自社で工作機械を作ることができるようになりました。自分たちで作った機械を納品し、自分たちでメンテナンスしていく。これでメーカーとしての体制が確立しました。これを機に、さらなる成長を目指したいですね。そのためにも、スタッフの確保・育成は急務です。ぜひ、ガッツ溢れる人に入ってもらいたいですね!
具志堅 益々のご活躍を! |