加納 御社は設立10周年を迎えられたそうですね! 以前取材させて頂いたときはまだ設立から数年といったころでしたから、あれから色々なことがあったでしょう。
牧野 そうですね。全てが順風満帆だったわけではありませんでしたが、お客様をはじめ周囲の方々に支えて頂いたお陰で無事に今日を迎えることができました。今だからお話しできますが、設立当初は資金的に苦しいことも多く、スタッフの給料を賄うために自分の生活を犠牲にしたりしていたのですよ(笑)。ですが「とにかく前進しなければ!」という気概に溢れていて、精神的には非常に充実していましたね。どんな苦労があっても自分が選んだ道ですから、後悔したことは一度もありません。
加納 今だから笑って話せるというのは、現在ゆとりを持って安定されている何よりの証拠。経営者としての器も大きくなられたように思います。具体的なお仕事の内容としては、当時から変わらずに?
牧野 ええ。大手住宅メーカーと提携して、東京・千葉・茨城の家屋に照明やエアコンなどの設備を納めています。もちろん、ただ納品するだけではなく、取り付け工事やちょっとした整備なども行っており、その技術力が当社の特徴となっているのです。
加納 普通の会社なら価格勝負ですが、御社は技術という付加価値が最大の武器であると。
牧野 はい。最近人気のIHクッキングヒーターなどは電気工事なども伴いますので「『住宅環境設備』さんでないと」とご指名を戴くこともあるのですよ。また現在は地デジ対応や宅内LAN設備工事なども得意としており、こうして独自の道を開拓してきたことが実を結んできていると感じています。
加納 スタッフの方々も社長の育成方針によって随分成長されたのでしょうね。
牧野 お陰様で、現在は20名のスタッフを抱えるようになり、それぞれが現場最前線で頑張ってくれています。社会人としてのマナーや常識など、人間性を重視する方針は以前から変わっていませんが、最近ではさらに資格取得の奨励にも力を注いでいますね。やはりお客様に最善のサービスを提供するためには、商品以外にも様々な知識がなければなりません。現在では一級電気工事施工管理技士や第一種電気工事士をはじめ、電話工事担当者デジタル第一・三種からインテリアコーディネーター、宅地建物取引主任者まで多彩な資格の所持者が揃っています。
加納 それだけ各分野のスペシャリストが集っているのでしたら、お客様も心強いですね。
牧野 たとえ最初は「照明の調子が悪いので見てほしい」というご依頼だったとしても、現場に伺ってお話をするうちに「実は換気扇も…」というように様々なご要望が派生するものなんです。そこで「うちは照明しか分かりません」とお断りするのは、本当のサービスとは言えません。『住宅環境設備』の看板を掲げている以上、住宅設備に関することは何でも快くお引き受けすることが当社のモットーですし、それだけのキャパシティーがあると自負しています。
加納 一気に家中の問題が解決するのは、特にお年寄りにとっては嬉しいことだと思います。
牧野 ええ。「ありがとう、助かったよ」と喜ばれることも多いですね。最近は高齢化も進んできていますから、痒いところに手が届くサービスを提供していきたいと考えているのですよ。そして住まいのドクターのようなイメージで、地域の方々に気軽に頼りにしてもらえる存在となれれば嬉しいですね。やはり企業としての価値は、利益率などよりも社会にどれだけ貢献できるかではないでしょうか。いずれは住宅設備のみならず、その周辺環境も手掛けていきたいですね。
加納 それこそ大手にはなかなか出来ない地域に根差す企業ならではの展開だと思いますし、ひいては地域活性化に繋がっていくのでしょう。では最後になりますが、20周年に向けた抱負をお聞かせ下さい。
牧野 今後の課題は、後継者の育成です。企業を牽引する経営者は判断の責任を全て背負わなければなりませんし、注意してくれる人がいないため常に己を省みなければなりません。その重圧に耐えながら、的確な舵取りができる人材を是非とも育てていきたいですね。
加納 けれどお仕事がお好きな社長のことですから、いつまでも現役を貫かれるおつもりなのでは?
牧野 そうですね(笑)。趣味も色々ありますが、やはり現場の仕事が好きですから、いずれ代表職を退いても何らかの形で関わっていきたいと思います。そしてお客様からの喜びの声を励みに、今後も誠心誠意を尽くしていくつもりです。 |