有限会社 内藤スプリング製作所
代表取締役 内藤 啓市

主に自動車に使用される精密バネや特殊バネの製造を手掛けている『内藤スプリング製作所』。「より良い製品をスピーディーに提供すること」を経営方針に掲げ、技術や経験だけではなく、真心を込めた製品作りを大切にしている少数精鋭企業だ。

技術や経験だけでなく
真心を込めて製品を作り上げる

具志堅 御社は内藤社長のお父様が創業されたそうですね。

内藤 はい。当社は昭和37年に父が創業し、私も高校時代からアルバイトとして働いていました。そして学業修了後すぐにこちらで本格的に業務に取り組むようになったのです。妻とは私が27歳のときに出会い、結婚。現在取締役を務めてくれており、これまで25年間当社を支えてきてくれました。

具志堅 こちらでは、主にどのような製品を製造されているのですか?

内藤 自動車のプラグに用いられるコイルをメインに手掛けています。中でもディーゼルエンジン車に搭載されるグロープラグ用のコイルに特化していまして、高く評価して頂いているのです。当社の親会社が我々の手掛けたコイルからプラグを製造し、ヨーロッパの自動車メーカーに卸しています。当社が扱っているバネとしては、圧縮バネや引っ張りバネ、捻りバネなど、様々な種類のバネを製造しているのですよ。

具志堅 ひと月にどれくらいの数の製品を製造されているのですか?

内藤(昭) 約100万個です。ただ実際には2種類のコイルをそれぞれ100万個ずつ製造し、それらを合わせて製品化することになりますから、合計で200万個以上製造しているのですよ。

具志堅 それは凄い数ですね!

内藤(昭) 手間の掛かる工程を幾つも経て製品化されるのですが、機械が導入される以前はパートの方の手作業によって製品が作り上げられていたのですよ。ですから当時は20万個を作るのが精一杯でしたね。

具志堅 厳しい時期を乗り越えることで確かな技術力を身に付けてこられたのですね。

内藤 はい。私が社長職を後継してから1台、2台と徐々に機械を導入してきました。しかしただ機械を導入するだけでなく、充分な経験や技術が必要不可欠な業界。それに真心を込められなければ、決して良い製品はできないのです。

具志堅 社長からは製品を生み出すことに対する強い情熱が感じられます。

少数精鋭で守られる
確かな信頼と品質

具志堅 ではお仕事を手掛ける上で、大切にされていることとは?

内藤 信頼と品質です。これらを守ることができれば、仕事は途切れることはないでしょう。それだけに、この2つを常に継続して守り続けていくのは決して簡単なことではありません。

具志堅 そういった仕事に対する姿勢は従業員の方にも伝わっているのでしょう。人材育成についてはどのように考えておられるのですか?

内藤 間違ったことに対しては厳しく指導しますが、基本的にはあまりこちらから指示することはありません。当社には従業員が15名在籍していますが、みんな強い責任感を持って自主的に仕事に取り組んでくれていますので、信頼して作業を任せることができるのです。

具志堅 少数精鋭で素晴らしい技術力を発揮されているのですね。社長にとってやり甲斐を感じる瞬間とはどんなときでしょう。

内藤 他所では実現不可能なことを当社でやり遂げたときに一番やり甲斐を感じますね。やはりお客様が期待を掛けて当社に仕事を依頼して下さるわけですから、その期待に応えなければならないという強い責任感を持って仕事に取り組んでいるのです。

具志堅 その姿勢がお客様の信頼に繋がるのでしょうね。

一つひとつの仕事を確実に完遂し
より良い製品を生み出し続ける

具志堅 現在ご子息もご一緒に働かれているそうですが、後継者についてはいかがでしょう。

内藤 現在20歳の長男が一緒に働いてくれており、まだまだ技術面では未熟ですが、一生懸命取り組む姿勢は評価に値すると思います。それに常に自ら考え、自主的に行動する前向きな姿勢には、将来が楽しみになりますね。

具志堅 後継者不足というのはどの業界でも経営者を悩ませていますから、次世代を担う人材がいらっしゃるというのは幸せですね。それでは最後になりましたが、今後に向けての抱負をお聞かせ下さい。

内藤 あまり大きな夢は抱いていません。それよりも目の前にある仕事を一つひとつ確実にやり遂げることが大切だと考えています。それがより良い製品を生み出すことに繋がりますし、その結果としてお客様に喜ばれ、信頼して頂けると信じていますからね。

具志堅 日本が世界に誇るものづくり企業として、これからもより良い製品を生み出し続けて下さい。本日は誠にありがとうございました。

……ものづくり企業の鏡……

▼ディーゼルエンジン車に搭載されるグロープラグ用のコイルの製造で高い評価を得ている『内藤スプリング製作所』。今でこそ、同業界において確かな地位を確立しているが、同業他社が集中するエリアだけに、これまで企業を存続・発展させるために血の滲むような努力を続けてきたのは言うまでもない。かつてはヨーロッパに販売網を持つ現在の親会社と直接取引を行うことはできず、別会社を通じて商品を納品していた。しかし、ひたすら技術力に磨きをかけ、信頼と実績を積み重ねてきた結果、直接取引を行える企業にまで成長してきたのである。
▼そんな同社の内藤社長は、技術や経験だけではなく、「真心」を大切にしている。毎月200万個以上のコイルを製造するが、それら一つひとつには、社長をはじめとする従業員たちの「真心」が籠もっている。「真心」が技術や経験の隙間を埋め、完全なる製品が生まれるのだろう。これまで一つひとつの仕事を着実に手掛け続けてきた同社には、ものづくり企業としてのあるべき姿を映しているように感じられる。

対談を終えて

「技術や経験だけではなく、真心を込めなくては良い製品は生み出せません」という印象的なお話をされていた内藤社長。自動車のプラグ用のコイルという我々が普段目にすることがない世界ですが、御社のように真摯な姿勢で製品を生み出している企業があるからこそ、私たちが安心して自動車に乗ることができるのですね。これからもその姿勢を守り続けて、確かな製品を世に送り出して下さい。(具志堅用高さん・談)」


本記事の内容は、月刊経営情報誌『報道ニッポン』の取材に基づいています。
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