ハーモニー 株式会社/和音介護サービス事業所
代表取締役社長 野上 宏輔

足跡:大阪府豊中市出身。高校卒業後、建築業を学ぶため学校に行く。学生時代に建築を学ぶ中で、バリアフリーの大切さを考え、ヘルパーの資格を取得。それを契機に福祉業界に深く携わるようになり、就職した。2006年8月に「ハーモニー」を設立。

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●「心のバリアフリーが、目標です」
学校にて建築を学ぶ中、バリアフリーの大切さを考え、福祉ヘルパーの資格を取得した野上社長。福祉業界に転身してからは、サービスを利用する側と提供する側との距離を、いかにして縮められるかを追求しているという。趣味の釣りを生かしたイベントの計画など、介護を必要とする人とそうでない人々との交流の場を設けるなど、意欲的に活動している社長。その行動の原動力は、「心のバリアフリーを実現したい」という強い思いにある。

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2006年の8月に設立された「ハーモニー」は、11月より「和音介護サービス事業所」を運営し、障がい者福祉サービスや介護保険サービスを提供している。きめ細やかな配慮と心の通じ合う介護をモットーとする野上社長は、心のバリアフリー確立に余念がない。

具志堅 まずは野上社長が「ハーモニー」さんを立ち上げられるまでの経緯をお聞かせください。早くから、福祉に興味をお持ちだったのですか。

野上 いえ、私は以前、建築の学校に行っていました。その勉強の一環として、バリアフリーを勉強しようと、福祉のヘルパーの資格を取得しましてね。そこから福祉業界への興味を深め、就職。福祉の現場で実際に働きながら知識とノウハウを習得し、独立しました。経験を重ねるうちに、利用者さんとより近い形で仕事をしたいと思うようになったのが、独立を志した一番大きな原動力になりましたね。その思いを実現するために、自分で組織を立ち上げようと決めたのです。

具志堅 強い熱意を持ってスタートされたのですね。創業は2006年8月だそうですが、準備期間はどれくらいでしたか。

野上 4カ月ほどです。当初は“所長”や“社長”と言われても、誰を呼んでいるのだろうと思うことも多く戸惑いましたよ(笑)。最近ようやく、自分のことだと分かるようになりました(笑)。

具志堅 (笑)。経営者としてのご苦労も、お感じになっているのでは?

野上 確かにそうですね。勤務時代と違って、今は上司がおらず、全ての責任は私にかかっています。重責に対するプレッシャーは確かにありますね。また、人と人とが触れあう仕事だけに、利用者の方とヘルパーさんとの相性などが問題になる場合もあり、双方を尊重しながらフォローするといった、メンタル面での仕事も増えました。ただ、大変なばかりではなく、毎日が発見の連続といった感じで楽しんでいますよ。

具志堅 とても生き生きとされていて、お仕事への意気込みが伝わってきます。では、社長が独立を決心された思い─以前の職場では実現できなかったことというのは、現在実現されていますか?

野上 はい。かつて働いていた職場は、業界でも大手に数えられる規模で、私は現場で働く人たちのケアやフォローを主に手掛けていました。現場のスタッフたちは、ほぼ完全にマニュアル化された環境で働き、私自身は現場の人たちとの接点を十分に持てていませんでした。また、正社員、パートという雇用環境によって仕事に温度差が生まれていました。福祉は人と人との関わりの中で成り立つもの。利用者にとってはアルバイトでも正規職員であっても、一人のヘルパーであることに変わりありません。だからこそ、皆が同じ気持ちで働けるような場を創りたいと考えたのです。今は少しずつではありますが、その思いが実現できていると思います。

具志堅 確かに、介護事業は人と人との関わりが非常に深いお仕事ですよね。

野上 はい。嬉しいことに、メンバーは私の志と近い気持ちでいてくれますし、人数も十分。仕事では一人暮らしのお年寄りを訪ねることも少なくありませんが、伺った際、喜んでもらえることがとても嬉しいのです。そのたびに「人と人とのつながりを大切にしよう」という思いを新たにしますね。実は私の趣味は釣りで、障がいを持つ方々(今回は車椅子の方々)に、より安全に釣りを楽しんでもらおうと思い、現在所属している「大阪府釣連盟」と、知り合いの「頚椎損傷連絡会の会長」に、お話しをさせていただいた所、とても好印象を持っていただき、秋に釣り大会を開催しようかというお話もあるのです。仕事以外の場でも、人との繋がりの大切さはよく感じています。

具志堅 楽しそうですね。でも、車椅子での釣りには、危険が多いのでは…?

野上 確かに未経験者もおられますし、海は危険が多いでしょう。けれどベテランのサポートさえあれば、安全に釣りを楽しめると思うのです。そういった楽しみを提供できれば、本当の意味で地域社会に貢献することになるでしょう。介護の仕事をしているからこそ、さまざまな形で架け橋になれたらと思うのです。
 障がいを持つ人たちは、様々な場面で差別を受けています。見ず知らずの人から突然、心ない言葉をぶつけられることもあるのです。そういった態度を取る、いわゆる「健常者」の方はおそらく、障がいを持つ、あるいは社会的弱者と呼ばれる人たちとの接点が少ないため、戸惑いを感じ、その戸惑いが差別的な態度になるのではないかと私は考えています。ですから障がい者と健常者が一堂に会する音楽祭などを開くなどして、両者の接点を増やしていけば、傷つけたり傷つけられたりといったことも少なくなるのではないかと思うのですよ。

具志堅 とても温かな目で「人」のことを考えていらっしゃるのですね。そういった考えの方が増えていけば、社会はもっと住みやすくなるのでしょうね。

野上 心のバリアフリーを実現し、ハンディを個性として生きられる社会を確立することが、私の最大の夢なのです。微力ながら、そんな社会づくりに貢献できるよう、力を尽くしたいですね。

具志堅 ぜひ頑張ってください!



……コラム……

▼介護サービス事業所を運営する「ハーモニー」。“ハーモニー”という言葉は「調和や意見の一致」を意味し、スタッフやヘルパー、利用者の方々などの、全員の意見を集め、皆でより良い介護の在り方を追求する会社を目指そうという野上社長の熱い思いが込められているという。また事務所の名前、「和音」の“和”は、「匠」という意味も持つ。そこに込められているのは、「介護に必要な技術を習得し、真のプロフェッショナルとなれるように」という願い。そして「音」は、音楽の“音”。それぞれ異なる音を同時に奏でる事で、一つのすばらしい音を作り出していける、つまり一人の利用者に対して、多くの人たちが関わることにより素晴らしいサービスを提供していこうという思いだ。 加えて、「最後まできちんとしたサービスを提供したい」という思いから、五十音の最後の3文字を取り入れて「和音」としたという。「人」が主体となる介護事業において、原点ともなる人への温かな思いがたくさん込められた「ハーモニー」。地域社会において、今後のますますの活躍に期待が寄せられている。

対談を終えて

「野上社長の趣味は釣りだとか。それをテーマにして障がいを持った方々と健常者がふれ合える場を作るなど、社長独自の視点が素晴らしいと感じました。その視点はとても温かく、人として最も大切なことをきちんと押さえておられます。人の社会を作るのは、他でもない人の気持ちなのだと、改めて教えられました」(具志堅用高氏・談)


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