豊島法律事務所
弁護士 小野 智彦 【(社)日本奇術協会賛助会員】

足跡:静岡県浜松市出身。中央大学法学部に進学し、法律系のサークルにて「豊島法律事務所」の創立者である故・白谷大吉氏と出会い、師事する。1996年に司法試験に合格し、以来同事務所にて奔走する日々を送り、主に離婚問題を手掛けている。プライベートでは日本奇術協会賛助会員という一面も持つ。

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◆一人でも多くの笑顔が見たい
学生時代に出会った恩師の言葉に感銘を受け、弁護士として生きていくことを決心した小野氏。日常生活の様々な場面で複雑に絡んでくる法律を、分かりやすく丁寧にクライアントに話している。「法律事務所は敷居が高くて相談しにくい」そんな風に考える人が多い中で、氏が心掛けているのは、町医者のような親しみある弁護士。どんな些細な相談にも一生懸命取り組むことをモットーとしており、人知れず悩みを抱えた人々のために日夜奔走している。

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「豊島法律事務所」は、1975年に故・白谷大吉氏が開業した庶民派の法律事務所だ。誰でも気軽に立ち寄れるようにと、“敷居の低い”事務所を目指してスタートした。その意志を引き継いだのが、弁護士・小野智彦氏を含む3人の弁護士。親切、丁寧に相談に応じる姿勢で一人でも多くの人を救いたいと、意欲に燃えている。

三原 まずは小野先生の歩みから。

小野 私は中学校時代、ブラスバンド部に所属しており、芸大に進学してその道を極めようと思っていました。しかし、親の薦めで進学校に進むことになりましてね。高い意識を持って勉強に励んでいる友人に影響を受け、私も自身の進路をもう一度考え直すことに。そして、将来の事を考え、中央大学法学部への進学を決めました。法学部なら自分の可能性が広がると思ったのです。

三原 なるほど。中央大学の法学部と言えば、司法試験合格者を数多く輩出されている名門ですものね。

小野 よくご存知ですね。学部全体の意識がかなり高く、ほとんどの学生が司法試験に挑戦するんです。大学には、司法試験合格を目指すサークルが多くありまして、私もその中の一つに入りました。そこで、こちら「豊島法律事務所」を開設された故・白谷大吉先生に出会ったのです。サークルでの活動は大変楽しかったですね。友人達と連れ立って先生のお宅にお邪魔しては、お酒を酌み交わしながら色んな夢を語り合いましてね。その頃に先生が「弁護士というのは一般の人達と一緒に泣いたり、笑ったりできる良い仕事だよ」とおっしゃった言葉が今でも忘れられません。その一言で「自分も弁護士になろう」と強く決心したのです。

三原 白谷先生との出会いが小野先生の運命を変えたのですね。

小野 はい、その通りです。一人ひとりの方と向き合って、相手の喜びを作れる仕事にやりがいを感じたのです。それから猛勉強して、1996年に司法試験に合格。同じく合格した友人と共に、白谷先生に報告に行きました。その時先生に、「どんな弁護士になりたい?」と聞かれ、「人々に親しまれる町医者のような弁護士になりたい」と答えると、「じゃあ、うちで働け」とおっしゃって下さったのです。本当に嬉しかったですね。一緒に働くようになって先生の偉大さを知ると共に、少しでも先生に追い付きたいとがむしゃらに頑張ってきました。先生が亡くなってからは、私と2人の先輩弁護士の3人で事務所を引き継ぎました。

三原 白谷先生の志を受け継がれたのですね。お仕事で心掛けていることは?

小野 クライアントに心を開いて頂けるように私は聞き役に徹して、じっくりとお話に耳を傾けることです。その中で解決の糸口を見つけていくのです。そして、なるべく訴訟にまで発展させず、和解へと導くようにしています。問題が起こった当初は、クライアントの感情は高ぶっていますからまずはそれを落ち着かせることが肝心ですね。弁護士の仕事は、物事の白黒をつけることではなく、紛争を収めることだと思うので、互いが納得して和解できれば、それが理想の形ですね。

三原 裁判で争って勝てばいいというものではないのですね。

小野 はい、どうしても訴訟しなくてはいけない時には、クライアントに進行状況やその対策などをつぶさに報告。一緒に戦う姿勢を心掛けています。様々な場面を一緒に乗り越えることで揺るぎない信頼関係が構築されるのです。そうして、一人でも多くの困っている方を助けられたら、こんなに嬉しいことはありません。日々奔走していますが、弁護士としてのやりがいを実感する毎日です。

三原 先生にとって弁護士は天職なのですね。地域住民の方にメッセージを。

小野 当事務所は、誰もが気軽に相談に来られる“敷居の低い”事務所を目指しております。少しでも不安なことや悩みがあったら気軽にお越し下さい。早めに相談して頂ければ、その分だけ早く解決することができます。事態が複雑になればなるほど、解決にお金も時間も掛かってしまいますからね。

三原 最後に抱負をお聞かせ下さい。

小野 私は昔から何か目標を決めたら、必ずそれを実現するようにして今日まで頑張ってきました。今後も、常に新しい目標を見つけ、それに向けて努力する姿勢を崩しません。

……煮詰まった頭を切り換える秘訣は…手品……

▼弁護士として多忙な日々を送る小野氏の気分転換は手品。「実は日本奇術協会の賛助会員なんですよ」と笑顔を見せる。氏がマジックに興味を抱いたのは、数年前。子どものおもちゃを買いに行った際に何気なく覗き込んだ手品コーナーで、実演ビデオを見たのがきっかけ。流れるように次々と繰り出されるマジックの素晴らしさに衝撃を受け、自身も挑戦したいと思ったという。当初は、手品商品を買い集めては自宅で練習するだけだったが、次第にプロマジシャンから個別指導を受けるように。以来、すっかり手品の魅力にはまってしまったという小野氏。今では、腕前もかなり上達している。敏腕弁護士の意外な一面だ。
▼弁護士の仕事は、人間同士の紛争を扱うもの。様々な感情や利害のぶつかり合いを目の当たりにする日々は、ストレスも溜まりやすい。仕事に煮詰まった時は、手品で頭をリフレッシュさせる。より多くの人々を救うためにもうまく気分転換を行い、仕事に集中することが大切なのだ。手品のように奇想天外な解決策が飛び出すかもしれない。

対談を終えて

「小野先生は大学で人生を左右する素晴らしい方と出会われました。人との出会いが及ぼす影響の大きさを改めて感じましたね。地域住民の方々が気軽に駆け込める事務所を目指しているという先生。クライアントの方にとっても、先生との出会いは大きな意味を持つでしょうね(三原じゅん子さん・談)」


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