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異業種から転身し、
ものづくり業界に飛び込む
あいはら まずは社長の歩みからお伺いしていきたいと思います。ご出身はどちらですか?
佐野 私は東京都出身で、父の実家が山梨で製紙関係の仕事をしていたことから、小学生のころにこちらに移ってきました。学生時代はずっとソフトボールをしていまして、それが縁となり大手カメラメーカーに誘われて入社したのです。
あいはら では、今のお仕事に就かれたきっかけと言いますと?
佐野 カメラメーカーを退職後に営業職なども勉強したいと思い、プラスティックの切削加工を手掛ける会社に入社したことがきっかけです。元々ものづくりは好きでしたし、そちらで切削加工や金属加工、板金などを手掛ける方々と知り合う中で、自分自身もその仕事に就きたいという気持ちが出てきたんです。それで平成16年に独立し、当社を立ち上げたのですよ。当社の名は上向きに変化することが特徴の変化球、ライズボールにちなんでいまして、「皆で一緒に上昇していこう」という気持ちを込めて名付けました。
切削界の総合商社として
ものづくり業界を支える
あいはら では、現在のお仕事内容をお伺いします。
佐野 設計業者さんが描いた図面を下請け業者さんなどに注文し、出来上がった製品をお客様へ販売するのが主な仕事です。いわば切削加工品の総合商社というところでしょうか。販売先は大手企業さんが多く、光学機器、設備、半導体、医療、電子など多岐にわたります。
あいはら あらゆるジャンルで縁の下の力持ちという役割を担っておられるのですね。これまでにはどのような製品を手掛けてこられたのでしょう。
佐野 前勤務先のカメラメーカーからのつながりで、カメラ付き携帯電話の部品やゲーム機の部品などを作りましたし、今後の地球環境を予測することが出来るようなスーパーコンピュータの機械も手掛けました。
あいはら 高い技術を持っておられるのが分かりますね。しかし、近年のものづくりのお仕事は海外への流出が進んでいますし、厳しいところも多いのでは?
佐野 確かに大量生産出来るものは流出していますが、我々が手掛けているもののように、精密で繊細な技術が要求される仕事は日本でしか作れないんです。簡単にはできない仕事を手掛けることで海外生産品と差別化を図ることが出来ればと考えております。それに当社では小ロットや多品種のお仕事も取り扱っていますので、国内においても他社には出来ない仕事が出来ていると思いますよ。
あいはら なるほど。しかし、その分御社にも多くの知識が要求されますよね。
佐野 その通りですね。様々な知識を持ったプロ集団でなければお客様とお話をすることすら出来ませんから。職人さんは一つの技術に人生をかけて研鑽しておられるプロの方ばかりですし、中途半端な知識しか持たないのにお話しさせて頂くと失礼になります。ですから、お客様がびっくりされるような深い部分まで勉強するよう徹底して努めていますよ。
あいはら このお仕事でやりがいを感じられるときとは?
佐野 お取引先やお客様など、仕事に関わる全ての人が喜べる結果になったときです。自社ばかりが満足する結果を求めてもその場限りのお付き合いに終わり、結局はマイナスの結果になるもの。利益面のことは後回しにしてでも高品質な商品を納期にきちんと納めていくことで、お客様と長いお付き合いが出来るような、良い結果が出ると思います。
あいはら ものづくり業界は高齢化も進んでいると聞きますが。
佐野 今は創業者さんから時代が変わり、2代目が実質の経営者という企業さんが増えつつあります。しかし、2代目の方は、後継ぎとして育っている人が多く、社会に出て他の仕事を吸収するチャンスに恵まれなかった方もいらっしゃいます。そして変化の激しい現代社会では考え方などにズレが出てしまうこともあるのです。すると、せっかくの技術が活かせられなくなるかもしれませんし、そうなると業界としてもマイナスですよね。そこで、私がこれまでの経験を活かしながら若い経営者の方に様々なことをアドバイスさせて頂くことで、そのズレを埋めることが出来ればと考えているのです。皆で力を合わせて共に成長していきたいですからね。それが私なりの業界への恩返しだと思っています。
あいはら 自社の人材育成に関してはどのようにお考えですか?
佐野 組織の中にいることに甘んじることなく、一人のプロとして仕事をするという意識を持ってもらいたいですね。そして大きく成長してもらいたいと思います。そのためにも会社の体制が十分に整っていなければいけませんから、社員たちが働きやすい環境を作り上げていきたいですね。
あいはら 最後に今後の抱負を。
佐野 会社と周囲の人々、そして私自身がもっと成長していけるようにこれからも一つ一つの仕事を丁寧に行っていきたいですね。まだまだ若輩で勉強不足ですが、もっと周囲の方々のお役に立てるようになれればと思います。
あいはら ありがとうございました。

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