株式会社 ジャパン・フーズ・ビー/備長吉兆や
代表取締役 大野 佳隆

岐阜県と福岡県に14店舗ほどを展開している『備長吉兆や』。新鮮な鶏を使用した1本80円からの串焼きが人気の、成長を続けている注目店だ。その経営母体である『ジャパン・フーズ・ビー』の大野社長に本日は渡嘉敷勝男氏がインタビューを行った。

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■お客様の声に応えられる
お店をつくっていきたい

新鮮な鶏を使用した串焼きが人気の『備長吉兆や』を展開している『ジャパン・フーズ・ビー』。大野社長は「どうすればお客様に喜んでもらえるか」をもとに店舗展開を進めている。あるとき社長はお客様に「自分の地元にも出店してほしい」と言われたという。普通ならそうした声はなかなか届かないもの。だが社長は本当にそのお客様の声に応えて出店したというのだ。もちろんその人は非常に喜び、店も毎日盛況だとか。そんな真摯な姿勢を貫く経営スタイルは社長独自のものであり、それは会社のカラーにもなっている。そんな社長の人柄で勝負できるこの企業が、成長したのも当然だと言えよう。

渡嘉敷 まずは社長の歩みからお聞かせ下さい。

大野 私は岐阜県出身で、高校卒業後は上京してアパレル関係の会社に就職しました。その後は大手アパレルメーカーに移り、さらに経験を積んでいたのですが、バブルが崩壊して景気が悪くなったことなど、様々な要因から帰郷を決意。串焼きチェーン店を経営していた知人の紹介などもあって飲食業界に入ったのです。そちらで修業を積んだ後、フランチャイズ店として独立することになったのですが、岐阜では初のフランチャイズでしたし、駐車スペースを完備した大型店舗だったこともあってか、多くのお客様に来て頂けましてね。それがきっかけとなって本格的な経営に興味を持つようになり、『備長吉兆や』をオープンしたという次第です。現在は岐阜県と福岡県を合わせて14店舗ほど抱えています。

渡嘉敷 当時から経営センスと先見の明が卓越していたことが窺えますね。しかし、岐阜というのは社長の出身地ですから店舗展開されるのは分かるのですが、何故福岡に進出を?

大野 非常に活気のある街だというところに惹かれたんですよ。それでこの街で商売をすれば楽しいと思い、親富孝通りに店舗を構えることにしたのです。とは言え、知り合いも全くいない状況でしたから、電話帳で業者さんを一軒一軒調べて出店準備を手伝ってくれる人を探して電話をかけまくりました(笑)。

渡嘉敷 (笑)。そうしたゼロからの出店は勇気がいったでしょう。

大野 確かに難しいこともあるとは思っていましたが、信頼のおけるスタッフもいましたので、出店自体には不安はありませんでしたね。それに串焼きには絶対の自信を持っていますから。

渡嘉敷 ほう。その串焼きの特徴を教えて下さい。

大野 朝おろしたてのフレッシュな鶏の串焼きを1本80円から提供しているところが当店一番の特徴です。これだけはどこのお店にも負けないと自負していますよ。それに他のメニューもリーズナブルな価格に設定していますので、お1人様3,000円もあればお腹一杯に食べて飲んで頂けます。

渡嘉敷 それは安い!

大野 お客様もお会計の際に「あれだけ食べて飲んだのにこんなに安いの!?」と驚かれる方がほとんどなんですよ。

渡嘉敷 そのお客様の気持ちが分かります。現在、社長はどういったお仕事をメインにしておられるのですか?

大野 お店のことはスタッフに任せて、皆のバックアップを行っています。具体的には出店までの準備を主に手掛けていまして、内装や外装に関しては自分で図面を引いているんですよ。

渡嘉敷 デザインは社長ご自身が?

大野 そうですね。全部自分で行っていますよ。アパレルで培った技術や経験を活かしてデザインをしています。

渡嘉敷 スタッフは何名ほど?

大野 アルバイトやパートを合わせると250名ほど抱えているのですが、皆一生懸命頑張ってくれているので、とても助かっています。本当にスタッフは私の宝ですよ。

渡嘉敷 普段からスタッフの方に仰っていることはありますか?

大野 相手の立場になって考えることです。特にお店を任せているような上の人間には厳しく言います。たとえば、何をして良いか分からない新しいスタッフを怒鳴りつけるなんてもってのほか。それは指導力が足りてないから起こることで、そのスタッフには責任がないですから。それに接客に関してもこちらの意見を押しつけるようでは駄目です。「どうすればお客様が喜んで下さるかを考えて接客するように」といつも言っています。

渡嘉敷 なるほど。そうして信頼できるスタッフがいるからこそ、社長も出店準備などの体制づくりに力を注げるのでしょうね。

大野 その通りですね。それに出店を重ねているのもスタッフのためと言っても過言ではないのです。と言うのも、頑張っているスタッフの中で「店長になってもらいたい」という人材がいたとしても、店舗数が限られていてはそのスタッフは店長になれません。するとその人は会社に魅力を感じなくなってしまうかもしれませんよね。頑張れば必ず報いられるという体制がなければスタッフに愛される会社にならないと思うんですよ。

渡嘉敷 なるほど。一店舗一店舗に社長の思いが詰まっているわけですか。そうした気持ちを込めたお店がお客様に支持されると嬉しいでしょうね。

大野 ええ。お客様あっての商売ですし、そうして喜んで頂けたときは素直に嬉しく感じます。お客様から「自分の地元にも出店してほしい」と言われ、実際に出店したら凄く喜んでもらえましてね。あのときは本当に感激しましたよ。

渡嘉敷 最後に今後のビジョンをお願いします。

大野 現在の店を順調に成長させていくことを基本としながら、計画中の数店舗を完成させることを目標にしています。それを叶えたときにまた新しい目標を立てていきたいですね。そうして確実に短期的な目標をクリアしながら、さらなる成長をしていきたいと思います。

渡嘉敷 今後とも頑張って下さい。

……スタッフとお客様のための店……

▼『ジャパン・フーズ・ビー』の大野社長は、スタッフとお客様の気持ちを第一に考えた経営を行っている。何店舗も経営する企業のトップになると、つい、企業としての意見を優先させてしまいがち。だが社長はあくまでもスタッフのため、お客様のためをモットーにしているのだ。社長はお客様のための店を作るべく、不定期に自らの店舗へ客として行くという。そうして本当にお客様の立場になって接客や料理、サービスが徹底されているかをチェックし、より良い店作りにあたっているのである。一方、スタッフのためとしては、社長は頑張れば必ず店長などのポストに就けるよう配慮を怠らない。そのために新たに出店することも厭わないというから、社長の思いの強さが分かる。そんな社長の姿勢が会社の成長につながっているのは言うまでもないだろう。

対談を終えて

「新鮮な鶏を使用した串焼きを1本80円で提供している店はなかなかありませんし、1人3,000円もあればお腹一杯に食べられるなんて嬉しい限り。私のようにたくさん食べる人も財布を気にせず来られますね(笑)。それに店舗は大野社長自らがデザインされているそう。そんな社長の気持ちまで味わえるお店はここにしかないでしょうね(渡嘉敷勝男さん・談)」


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