有限会社 神戸稲川電気商会
代表取締役 稲川 万規臣

大学卒業後、父が経営する『神戸稲川電気商会』に入社。先代のもとで経験を重ね、着実に技術を習得する。先代亡き後は周囲からの協力を得ながら同社を力強く牽引。安定した経営で地域に根差した運営を実現している。

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『神戸稲川電気商会』は、電気工事設備の設計、施工、請負を手掛けており、その工事の内容は、自家用変電所設備、自動火災警報装置設備、電気通信工事など幅広い。さらに家電製品・健康器機販売など、電気に関する多彩な事業を積極的に展開。今後も新しい挑戦を続けていきたいと語る稲川社長に、俳優の石橋正次さんがお話を伺った。

「地域を愛し、地域から愛される会社でありたい」

《子どもに愛される地域となるために》
亡き父の跡を継ぎ、『神戸稲川電気商会』の経営に尽力する
稲川社長。経営を通じて、地域とのつながりを深く実感するようになったと語る。その恩を返すべく、社長はスポーツクラブの委員を務めるなど、地域活動にも貢献。
「私はこのまちが好きなんです。子どもたちにも、
このまちで生まれ育ってよかったと思ってもらいたい」。
地元のために何ができるのか──社長の挑戦は、
これからも続いていく。

石橋 まずは稲川社長の歩みから。

稲川 先代である父が『神戸稲川電気商会』を営んでおり、私は小さいころから後継を意識していました。別の会社で経験を積んでからとも考えていたのですが、父が病気で倒れたこともあり、すぐに当社に入社。直接父から仕事のノウハウを学びました。

石橋 実際に入社されてみて、いかがでしたか。

稲川 当時はまだ遊びたい時期でしたが(笑)、お盆も正月もないほど忙しかったのを覚えています。私が30歳ぐらいの時、再び父が倒れてしまい、今度は現場に出られなくなってしまったんです。それからは私が経営のすべてを担うように。まだわからないこともたくさんあったのですが、地域の同業者さんから指導していただくことで、順調に運営することができました。本当にありがたかったですね。父は病床に伏してからも口頭で仕事の引き継ぎを行ってくれたため、亡くなった後も、仕事で戸惑うことはなかったです。ただ、父を亡くしてから気づいたことがあるんです。それは、父は地域の方からとても愛されていたということ。私に代替わりしてからも、周囲の方は変わらず協力してくださっているんです。本人がいなくとも、事業を継続できるほどの信頼を築いてきた、父の人望の厚さを実感しています。

石橋 何物にも代え難い財産を残してくださったのですね。

稲川 ええ。私にも息子がいます。彼に残しておけるのは、地域の人に助けられてきたという感謝の気持ちと、地元を大事にする気持ちだと思っています。

石橋 今の時代では忘れられがちな、とても大切なことだと思います。では、『神戸稲川電気商会』さんの事業内容についてお聞かせください。

稲川 電気工事設備の設計、施工、請負をメインに、自家用変電所設備、自動火災警報装置設備、電気通信工事などを手掛けています。

石橋 スタッフはどのような方がいらっしゃるのですか。

稲川 地元出身の、18歳〜35歳までの若いスタッフが多いですね。社内はとても活気に溢れていますよ。当社のスタッフは、みな未経験で入社しているんです。経験がない分、指導に時間は掛かりますが、吸収力があるため、成長は早いですね。失敗をすれば真剣に怒りますし、どちらかと言えば指導は厳しい方かもしれません。しかし数年経てば自分の技術力が確立されているのを実感してもらえるはずです。

石橋 人を指導することで、自らが再認識することもありますしね。

稲川 そうですね。以前は自分ひとりが頑張れば何とかなると考えていました。しかし、最近になって地域の人たちによって育てられていることを、より強く実感するようになったんです。例えば、経営者は社内で采配を振るうことが仕事だと認識していたのですが、「経営者こそ現場に入り、汗を流すべきだ」と指摘を受けたのです。実際に現場で汗を流すことで、事務所で数字を見比べていただけでは知ることのできない、たくさんのことが見えてきましてね。運営全体をしっかりと把握することで、状況を好転させることができたんです。周りには、そうした意見をはっきりと言ってくださる方が多く、私は本当に恵まれています。

石橋 周囲の意見を積極的に取り入れようとする社長の姿勢は、スタッフの皆さんにも良い影響を与えていらっしゃると思います。

稲川 人の意見、話を聞くことで、それぞれの見方や考え方が違うということを実感できますよね。そうした中で、自分の考えが間違っていたことにも気づくことができる。意見を素直に受け入れることは、自分を大きく成長させてくれるんですよ。

石橋 今後の展望について。

稲川 電気に関することは何でも積極的に取り組もうと考えています。新しいことへの挑戦は、おもしろくもあり、成功した時の達成感は大きく、また自分たちの成長につながってきます。その中で得られる経験や発見は大きな価値を生みます。また、同業者はライバルでありますが、良き理解者でもあり、仲間でもある。お互いに切磋琢磨しながら、業界全体で向上を目指していきたいですね。

石橋 ぜひ頑張ってください。私も応援しています。

人を育てる楽しみは、地域にも仕事にもある

▼「地域に支えられてここまでくることができた」と周囲への感謝の気持ちを大切にしている稲川社長。社長は事業の枠を越え、地域活動にも積極的に参加している。スポーツクラブのイベント委員長として、地域の子どもたちにスポーツを指導。「子どもたちにはスポーツを通じて体を鍛えるだけでなく、仲間や地域を大切にする心を養ってもらいたい」と語る。子どもたちに空手を教えているという社長は、指導の際に決して手を抜くことはないという。「真剣に怒ることもあり、指導は厳しいかもしれません。けれど、それらを乗り越えると、確実に力をつけることができる。数年経って“やっていてよかった”と言ってくれる子どもたちも多いんですよ。指導についての考えは、社内の人材育成においても同様。しっかりと指導することで、数年先のスタッフが確実にスキルアップしていることを目指しています」──。
▼人材育成に尽力する社長。なぜなら、自身が地域から多くのことを学び、大きく成長できたからだと語る。人を育てることで、その恩を返していくことが社長の目標でもあるのだ。

対談を終えて

「ボランティアとして地域の子どもたちに空手を指導されているという稲川社長。対談を通じて、社長が地域を大切にしておられることが強く伝わってきました。『助けられてきた分、地域に貢献していきたい』という社長のお気持ちを、しっかりと行動に移されていることが素晴らしいと思います。今後も事業を通じ、また地域活動を通じて、地元になくてはならない存在としてますますご活躍ください。本日はありがとうございました(石橋 正次さん・談)」


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