大沢 院長は2代目でいらっしゃるのですね。
神谷 はい。当院は昭和38年に私の父が開業しました。私は医科大学卒業後に大学病院で数年勤務し、平成17年12月に院長として父の後を継ぎました。ただ父もまだ理事長という形で元気に仕事をしています。
大沢 そうなんですね。現在はこちらの石野先生もご一緒ということですが?
神谷 ええ。石野は大学の後輩でしたが、とても優秀で、できれば一緒に仕事をしてもらえないかと思っていたんです。
石野 私は大学病院時代から院長を尊敬しておりましたし、こちらでは一人ひとりを大切に診て差し上げることが出来るので、仕事にとてもやりがいを感じております。
神谷 あと当院は男性の医師が2人でしたので、女性の医師が望まれるというのもあります。
大沢 そうですね。女性の先生の方が相談しやすいという人は多いでしょうね。
神谷 もちろんスタッフもみんな女性なんですよ。あと妻が歯科医ですので、当院では妊婦さんや赤ちゃんの歯科検診や指導も行っています。
大沢 産婦人科で歯も診てもらえるというのはなかなか珍しいですよね。
神谷 せっかく歯科医がいるのですからね。現在は無償で行っています。赤ちゃんのときは特にブラッシングが大事ですから、それらを指導させて頂いています。
大沢 それは喜ばれるでしょうね。こちらの建物になったのはいつですか?
神谷 平成2年で、16年に増築しました。
大沢 こちらはリゾートホテルのような感じで、気分もくつろげますね。
神谷 ありがとうございます。出産は人生において、とても大切な行事。その日を、くつろぎ、安心して迎えて頂きたいのです。食事も普段は和食が中心ですが、日曜にはフランス料理をお出ししていますよ。また東洋医学や禅を取り入れたリラックス方法でお産の不安を解消するソフロロジー式分娩も取り入れています。
大沢 そうした中で院長がお父様から引き継いでいる思いはありますか?
神谷 しっかり診断し、リスクを予想するということです。しかし、時代と共に医療はどんどん変わっていまして、父親の時代には無かった超音波検査(現在VOLUSON 社製Expertを使用。4Dも撮れます)や、児心拍モニタリングシステムがあり、胎児の異常が見つけやすくなったのは事実。さらに、異常が見つかったときに即座に帝王切開ができるようになりました。当院では、ネットワークにより麻酔医が麻酔をし、リスクのある胎児が産まれるときには、新生児管理のできる小児科医の立ち会いの下で帝王切開を行うこともできます。お産には、合併症がある程度の確率で発生します。このリスクを減少させるためには、?細心の注意を払い診断し、リスクを予想する?予想されたリスクに対し最大限の予防線を張り、また妊婦と共にリスクを下げる努力をする?妊婦の持った自然の力を最大限に利用し、足りない部分を介助する、ということが必要なのです。
大沢 院長から患者さんに何かお声を掛けることはありますか?
神谷 妊婦さんに対しては、一緒に頑張ろうと。特に初めてのお産は精神的に追い込まれやすいんです。無事に生まれるんだろうか、どれほど痛いんだろうか、といった出産前の不安から、お乳が出ないといった産後の悩みまで。けれどもそれらを乗り越えながら、徐々に母親らしくなっていくのですから、そんなお母さんを精神的にサポートしようと心がけています。当院では24時間助産師が待機していますので、そういう意味ではきめ細かくケアさせて頂いています。
大沢 このお仕事のやりがいは、どのようなときにお感じになられますか。
神谷 生まれたばかりの赤ちゃんの元気な泣き声を聞いた時ですね。父親や家族と一緒に命の誕生に立ち会えるこの仕事は、とてもやりがいがありますよ。
大沢 今後についてはいかがですか。
神谷 自然に生まれるようなお産ばかりではありませんので、少しでも安全に、多くの命を取り上げることが出来たらと思っています。今は産科医療も発達していますし、昔であれば危険とされていた状態の母子を救っていきたいですね。そのためには、普段からの観察がより重要になりますし、いざというときの病院側の備えを充分にしておかねばなりません。大変な仕事ではありますが、大きなやりがいを胸に、医師やスタッフと力を合わせ、地域に根ざす産婦人科医院として末永く頑張って参ります。
大沢 これからも頑張ってください。

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